「前立腺肥大症」について。どんな病気?検査は?治療は?
- 2021年4月21日
- おしっこの悩み
前立腺は、膀胱の下にある臓器で、精液を生成している臓器です。精液は、精巣(睾丸)で作られた精子と一緒に尿道から射精する際に使われ、精子の運動を手助けする役割があります。
前立腺は生殖活動には重要な役割を持っていますが、その役割を終えた後は、特に重要な機能を持たない臓器です。
前立腺肥大症とは、加齢や男性ホルモンの影響で前立腺が大きくなって尿道を圧迫し、排尿障害を来たす病気です。その頻度は多く、55歳以上の日本人男性の約2割、5人に1人くらいに前立腺肥大の症状があると言われています。
<主な症状>
尿をする回数が多い(1日8回以上)
急に尿がしたくなって、我慢出来ないことがある
我慢出来ずに尿をもらしてしまうことがある
夜、何度もトイレに行く
尿が出にくいことがある など
自然な形での排尿は、力を抜いてリラックスしてする排尿です。
尿道が狭くなっても、おなかに力を入れていきむような形で排尿をすることはできますが、この状況が長く続くと、膀胱に無理な力がかかり、膀胱の壁の一部が伸びて縮まなくなってしまうことがあります(膀胱憩室)。比較的軽症のうちに治療を開始することが望ましいとされていますので、少しでも出が悪いかな、と思うようでしたら、ぜひ一度検査にいらしてください。
<検査>
エコー検査で前立腺の大きさをはかり、重症度を判定しますが、大きくても症状の軽い方や、逆にそこまで大きくないのに症状の強い方もいらっしゃるので、大きさだけでは重症度が決定できないのも難しいところです。また、前立腺の形状によっても症状の出方が異なります。
症状の強さの客観的な評価として、尿流量測定を行い、尿の勢いを測定します。
また、「前立腺がん」がないかどうか、血液検査も行います。
泌尿器科での診察を受けられる際には、クリニックで排尿をしていただくことが必要になりますので、お手洗いをご自宅で済ませないまま受診していただけますよう、よろしくお願いいたします。
<治療>
尿道を開きやすくする薬や、前立腺を小さくする薬、前立腺の血流を改善する薬、膀胱の緊張をとる薬などを組み合わせて治療を行いますが、薬剤での治療で改善しない際には、手術をお勧めすることがあります。
一口に「前立腺肥大」と言っても、細かく調べていくと適切な治療法は患者様それぞれ違うことが多いです。ぜひ一度、泌尿器科での精密検査をお勧めさせていただきます。
*当院では、直腸診(おしりに指を入れる検査)は必要な患者様だけに行っており、ご希望されない患者様には極力ほかの方法で対応させていただいています。