「頻尿」 おしっこが近い! その原因と検査・治療について
- 2021年1月24日
- おしっこの悩み
泌尿器科を受診される患者様に一番多い主訴である、「尿が近い」ことについて、泌尿器科専門医の視点から3つのパターンに分けて、少し掘り下げてみたいと思います。
- 少量ずつ何回も出る
尿意が強く我慢できない(過活動膀胱など)、空っぽになるまで尿が出し切れないのですぐ膀胱がいっぱいになってしまう(前立腺肥大症・神経因性膀胱など)、膀胱が固くなってうまく膨らまない(萎縮膀胱)、ことが原因となります。
尿意を強く感じてしまう患者様には尿意を和らげて膀胱を膨らみやすくする治療を行い、尿が出し切れていない方には膀胱の力を強めたり、尿道の通りを改善したりする治療を行います。
原因を正しく検査して治療を開始しないと、真逆の治療を行ってしまうことがあり、最悪の場合には尿が全く出せなくなってしまうことがありますので、頻尿の自覚がある方は、必ず専門医の診察を受けることをお勧めします。
- 昼はあまり出ないのに、夜だけ近い
夜間1回でも排尿に起きる方を夜間頻尿と言います。夜間頻尿は、患者様の生活の質を大きく下げる要因の一つですが、非常に原因の特定が難しく、なかなか改善しにくい症状です。
まずは、「眠りが浅いから起きてトイレに行く」のか、「熟睡できているのに尿意で目覚めてしまう」のかを判定します。後者の場合には原因は多岐にわたります。糖尿病・高血圧・心疾患などの他疾患が原因となっている場合も多くありますので、やはり精密検査をお勧めします。
最近、テレビなどで「ふくらはぎに溜まった水が夜に尿になる」という説については、一概には言えませんが、一理あると思っています。私の経験でも加圧ストッキングを履くことで夜のトイレの回数が減った患者様も多くいらっしゃいます。ただし、下肢の血栓などのある方はストッキングを履くことができませんので注意が必要です。
- 行ってもあまり出ないのに、ずっと尿意がおさまらない
尿にばい菌がいたり(尿路感染症)、血液が混じっていたり(血尿)することで、尿が膀胱を刺激するため、排尿しても尿意が消えない状態が考えられます。尿検査を行い、原因を診断して治療を行う必要があります。
尿路感染症については、適切な抗菌薬の投与を行います。高熱や背部痛を伴う腎盂腎炎(腎う炎)は重症化のリスクがあるので、入院治療が可能な施設にご紹介させていただくこともあります。
血尿が出る原因としては、尿路結石・尿路悪性腫瘍(腎臓がん・尿管がん・膀胱がん)・前立腺肥大症などがあります。肉眼で確認できる血尿は、様子を見ずに必ず泌尿器科専門医の診察を受けていただくことをお勧めします。
一口に「頻尿」といっても様々な原因があります。たまプラーザいとう泌尿器科では、泌尿器科専門医による診療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。