たまプラーザいとう泌尿器科 院長ブログ クリニックに対する思い

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クリニックに対する思い

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クリニックに対する思い

今回は、勤務医から開業医になった時の気持ちを書いてみます。お役立ち医療情報は出てきません。

もし当院に興味を持っていただいた方がいらっしゃいましたら、読んで頂けたら嬉しいです。

昔よく読んだ、新聞のコラム(我が家は朝日新聞だったので、「天声人語」でした)風に書いてみました。

 

 ▼地域の総合病院で働いていたときに、地元のがんセンターから私宛に紹介状を持ってこられた患者様がいました。その内容は、「前立腺癌の治療を当院で行っている患者様ですが、最近、頻尿の訴えがあります。癌についての診療はこちらで行いますので、頻尿については貴院で治療をお願いします」というものでした。

 

 ▼「病気を診ずして病人を診る」という医療界では古くから言われている言葉があります。本来の意味は、「安易に診断を下すことなく病気と向き合いなさい、そして病気のみならず病気になった人の生活や背景にまで思いをはせなさい」という意味だそうですが、現在では「病気を治すことばっかり考えて、人間としての生活には全く気を配らない医療」に対する皮肉として使われることも多くあるようです。

 

▼ニューヨークに住んでいた時、留学している医者仲間で「虫歯が痛いけど保険が無いから歯医者にかかれない」なんてことを自嘲気味に話しては笑いあっていました。これは大げさでもなんでもなく、まぎれもない事実です。大企業の海外駐在と異なり、我々医師の海外留学はほとんど給料なしで、日本から奨学金をもらっている立場でした。アメリカの高額な保険料が払えず、歯科の治療をカバーしていない保険で生活している者が殆どで、虫歯は日本に帰るまで放置していました。私もそれで奥歯を1本失っています。日本の国民皆保険制度は、世界に誇るべき素晴らしいシステムですが、超高齢化社会の現在において、永遠に続く保証はありません。我々医師には、目の前の患者さんに全力を傾ける義務とともに、国民皆保険制度を維持するために適切な保険診療を行う義務も求められています。

 

▼総合病院で勤務を続ける中で、常に私は、患者様の思いに応えられていない歯がゆさを感じていました。ガイドラインで推奨されている医療行為と、患者様の求めていることがずれていることも多くありました。保険診療の枠組みの中で患者様に最大限の医療を、満足を、サービスを提供していきたい。それが私のクリニックに対する思いであります。