おしっこが近くなる病気~過活動膀胱について~
- 2021年2月15日
- おしっこの悩み
過活動膀胱は、「急に我慢できないような尿意が起こる(尿意切迫感)」「トイレが近い(頻尿)」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある(切迫性尿失禁)」などの症状を示す病気です。
原因 膀胱容量には個人差がありますが、正常であれば300‐500mlくらいの尿をためることができます。
尿は腎臓から常に流れてきており、膀胱が尿を貯めるときは脳から脊髄を介して尿を貯めるように神経が働きます。
膀胱に100-150ml程度の尿が溜まると、膀胱が引き伸ばされた刺激でおしっこがしたい感じがします(初発尿意)。
ここでトイレに行かずに我慢すると、300-500mlくらいの尿がたまって限界になります(最大尿意)。
しかし膀胱が敏感な方は、初発尿意、もしくはそれよりも早く急激な尿意やがまんできない感じ(切迫感)を感じ、我慢できずに漏らしてしまう(尿失禁)ことがあります。このような状態を過活動膀胱といいます。
過活動膀胱は中高年に多く、男女問わずに見られます。特に男性の場合は前立腺肥大症に合併することも多くあります。
診断 まずは、問診票にて症状の重さを把握させていただきます(こちら→OABSS)。尿検査やエコーで、頻尿の原因となる他の疾患が隠れていないか検査します。可能な方には、ご自宅での排尿状態を記載する「排尿日誌」の作成をお願いしています。
治療 膀胱の筋肉を柔らかくし、強い尿意を和らげるお薬を使いますが、前立腺肥大の男性や、神経因性膀胱の男性女性で残尿のある方にこの薬を使うと、かえって排尿状態が悪化してしまうばかりか、最悪の場合には自力で尿が出せない状態(尿閉)に至ってしまうことがありますので、注意が必要です。
薬剤での治療で改善しない際には、ボトックスというボツリヌス毒素を内視鏡で膀胱壁に注入する手術をお勧めすることがあります。
最近は過活動膀胱に対して有効な薬が数多く出てきており、病気の存在も広く知られるようになってきましたが、「頻尿」=「過活動膀胱」と決めてかかると、膀胱癌や前立腺癌などの悪性疾患の診断が遅れてしまう危険があります。
自覚症状がありましたら、必ず一度は専門医の診察を受けていただくことをお勧めします。
当院はたまプラーザ駅徒歩2分、泌尿器科専門医の診察が随時可能なクリニックです。
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