膀胱がんについて
- 2021年4月2日
- 泌尿器科の「がん」について
つい先日も、著名人の方が膀胱がんで手術を受けたニュースが流れました。
「痛みのない血尿」や「なかなか治らない膀胱炎」などが発見のきっかけとなることが多くあります。早期に発見し、適切な治療を行うことが何より大切です。確定診断には膀胱尿道内視鏡検査が必要になりますが、必ずしも全員に行うわけではなく、尿検査や超音波検査で疑わしい患者様だけに内視鏡検査をお勧めしています。不安に思われた方、まずは泌尿器科に受診してみてください。
膀胱がんはこんな病気
膀胱がんは、膀胱の内側にある尿路上皮(移行上皮)粘膜より発生する悪性腫瘍で、空間的・時間的多発性という特徴を持っています。診断時にすでに膀胱内で多発していることや、内視鏡下による完全切除後に膀胱内再発を認める頻度の高い病気です。
膀胱の位置
膀胱がんの診断
尿検査で尿潜血陽性(尿にわずかでも血液が混じっている状態)が指摘された際には、超音波検査と尿細胞診検査(尿のがん細胞の有無を確認する検査)をします。肉眼で見える量の血尿があった際には、内視鏡やCTを行います。膀胱内に腫瘍が認められると、CTやMRI検査を行って病期を診断します。
内視鏡検査でみた乳頭状に発育する膀胱がん
膀胱がんの治療法
経尿道的に膀胱腫瘍を切除する手術を行います。内視鏡で切除可能ながんであった場合は、手術後、再発予防のために膀胱内へ薬剤を注入します。これは、週1回、計6~8回のスケジュールで行われます。
一方、内視鏡にて切除不可能であった場合は、膀胱をすべて摘出する必要があります。摘出後には新しい尿の通り道を再建する必要があり、さまざまな方法があります。最も一般的な方法は、小腸の一部分を尿の通り道とする「回腸導管」という方法です。根治性が高く、術後のトラブルも少ないですが、永久にストマ(尿の排泄のため、腹部に増設する排泄口)の管理をする必要があります。その他、自身の尿道を温存し、小腸を袋状に形成して尿を溜める袋として使用する「代用膀胱」という方法もあります。この方法ではストマの管理は不要ですが、自力での排尿が困難になる場合も多く、自己導尿やカテーテル管理を要する場合も少なくないという問題があります。がんの状態や自身の社会的背景も考慮して、医師と相談しながら最適な治療法を選択することが大切です。